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ツクール2000→ウディタ→ツクールMV・MZと乗り換えてのゲーム制作とかの備忘録

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割り切った制作でRPGを完成できたメモ

2024/02/17

 

はじめに

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9月に公開した短編RPG「ヤメタイン」。
公開にたどり着くまでに、作っては風呂敷が広くなり挫折、また作り直しては風呂敷が…という具合で、いつまでも完成ない状態でした。
最終的には、ある作品を参考にしたりして、なんとか完成まで行ったのですが、その「完成まで持っていく」というところで、今回いくつか割り切りポイントを設定しました。

「制作を進めるうちに風呂敷が広くなって手に負えなくなり挫折」というのはゲーム制作(に限らないですが)では超よくあることだと思います。
また「RPGを作るからにはこうでなければならない」みたいな固定観念のようなものも、制作コストを大きくして挫折の原因になってしまうのかなと思います。
本記事では、「ヤメタイン」を完成まで持っていくために制作時に割り切った箇所(→割り切りポイント)を紹介します。

「そうか、これでもRPGとして成立はするんだ…」というところの気付きとなればと考えています。

★対象とする読者:色々なところに拘りすぎていつもゲームを完成まで持っていけない人

 

退職RPG「ヤメタイン」公開までの制作紆余曲折メモ

 

1.キャラの種類を絞る

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登場するキャラの画像の種類を絞る。
ドラゴンクエスト1(FC版)も10種類(※1)しかキャラがいなかったので、そういった意味では最低限の種類だけ用意しておけばゲームとしては成立します。
※1:①プレイヤー、②王、③姫、④兵士、⑤戦士、⑥老人、⑦商人、⑧一般男性、⑨一般女性、⑩ラスボス で10種類
今作ではマップ上に出てくるキャラクターは上の画像の9種類しか作りませんでした(多分)。

また、今作では歩行アニメーション無し かつ向き固定にしました。
DQ1も正面しかないので(まあ、DQ1は容量の都合で仕方なくそうなったのであり、かつアニメーションはするのですが)。
Ultimaとか、昔のPCのRPGは正面向き固定アニメーション無しのキャラクターも多かったので、そういう意味では全然普通です。Elonaとかもそうですし。

2.敵キャラの画像をすべて黒子にする

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黒子となる敵キャラ画像を1個用意して、それをすべての敵キャラの画像として使い回します(は?)。
最低限、キャラの名前が分かれていれば、そこで区別できます。
敵の画像がなくても成立しているRPG(下記記事参照)もあるので、全然ありです。

【いまさら聞けないあのゲーム#12】地味だけど、それがいい!3DダンジョンRPGの『Wandroid#7』
https://app.famitsu.com/20210107_1749829/

※今作では、最終的には完成後の調整の際に敵キャラ22体?分の画像は用意しました。
ただ、制作当初から全員分の画像を用意しようとしていたら、そこで制作が停滞していたかもしれません。

 

3.戦闘システムを割り切る

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これは当初は過去作「サイランド」とかのようなサイコロ式のバトルとか、もう少し複雑な要素(→アイテム使用とか、装備の特殊効果とか)を加えたかったのですが、そうすると戦闘システムの完成が制作終盤まで見えてこないので割り切りました(実際、それで何度かエターなってしまったので↓)。

 

結果として超シンプルな戦闘システムになりましたが、制作序盤時点で もうシステムは完成しているので、戦闘システムのことは以後考えずに他の作業を進められました。

※ここも最終的に少しいじって、サイコロのハイアンドロウ要素が少し入ったり、画面にログを出すようにしたりはしました。ただし完成後の話です。

 

4.見える範囲を狭める

(これは元ネタ側の画面レイアウトの都合もあるのですが…)
画面に見えるマップの範囲が広すぎると、細かいところが気になってしまいます(ex.左側はマップ密度が高いのに、右側はのっぺり 等)。
気になって直して、また別のところが気になって…と繰り返していると、いつまでも次のマップの作成に取りかかれない、。というところで、画面に見えるマップの範囲を狭めることで、全体の整合性とか細かいところが制作中に気にならないようにしました。

見える範囲を狭めるというところに限らず、「完成するまではマップはとりあえず仮組み。調整は最後」とか割り切っておくと制作がスムーズに、少なくとも完成へは近づいていくと思います。

 

5.メッセージウィンドウを小さくする

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これも元ネタの画面レイアウトの都合でもあるのですが…。
ツクールMZとかのデフォルトのウィンドウサイズは、画面横幅いっぱい×4行分 ですが、それだけ文章を書けるスペースがあるということは、裏を返せばそれだけのスペースを使って表現しないといけないということにもなります。
文章作成コストが掛かります。
NPCのセリフを揃えるだけでも中々ハードワークです。
メッセージウィンドウを小さくすることで書ける文章量を少なくして、サクッとセリフを作れるようにしました。

文章量が少なくても、メッセージウィンドウ自体が小さければ「まぁこんなものか。必要最低限で表現するタイプのゲームなんだな~~」と、見る側も案外気にならなかったりします。
逆にデフォルトのメッセージウィンドウサイズで一言だけとかだと、なんだか手抜き臭く見えてしまいます。
実際手抜きなんでしょうけれど。

 

6.使うBGMを絞る

メインBGM1個をゲーム中流しっぱなしにしました。
「ハイドライドスペシャル」とかも、基本は1曲流しっぱなしだったので全然ありです。
昔のPCゲームはBGMすらなかったことを考えると、BGMを流してあげているだけ相当大盤振る舞いと言えます。

 

「ここは大事なマップ(シーン)だから他の曲を流したい!」という時は、後でそこだけ変えれば良いです。
始めから複数パターンBGMを揃えようとしてしまうと大変ですし、気に入らないからBGM素材を探し直す…とかやっていると、いつまでも完成には近づきません。
とりあえず何か一曲流しておけば良い。

7.とりあえず最後まで繋げる

ここまで「とりあえず完成するまでは…」とか所々で書いてきましたが、ここで書いている""完成""とは、とりあえず最初から最後まで通しでプレイできる状態のものを指します。

オープニングから最初の街、ダンジョン、2つ目の街…と順番に完成度100%になるまで作り込んで行って、その積み重ねの結果完成する というスタイルより、とりあえずざっくりではあるものの最後まで通しでプレイできるものを作って、その後に各所の調整を行って全体の完成度を高めていくスタイル のほうが個人的には良いかなーと思っています。

 

利点としては、調整中に作るのが面倒になってしまっても通しではプレイできるので、そのままいざとなれば公開できるという点が挙げられます。
ここの安心感は大きい。

マップの密度、シナリオの細かい整合性、戦闘バランス…等々はテスト時に肉付け。
気になるところは「完成後に」作り込む。

おまけ・LET’S EAT MANY MANY TOMATOES!(過去作)

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(↑1日でとりあえず最後まで作成させました)
▼▼▼

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(↑公開後、ちょくちょくバージョンアップして肉付けした結果、こうなりました)

2006年ぐらいに公開した上記作品も「とりあえず最後まで繋げる。細かいところは後で肉付け」のスタイルで制作しました。
(まあ本作はとりあえず完成させたタイミングでそのまま公開してしまったのですが…。)
完成までの制作期間は1日でした。

おまけ2・暗闇幻想紀行(過去作)

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(↑1~2週間ぐらいでとりあえず通しで繋げる)
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(↑その後、マップを直し、システムを肉付けして公開)

2007年ぐらいに公開した本作も、とりあえずざっくりと最後まで作りました。

おわり

昨今、ツクールで言えば画像の解像度も上がり、使える表現も増え、システムも拡張でき…と表現できる範囲も広がり、かつTwitterとかを見るとすごい綺麗で丁寧な作品の制作状況がかなり目に入ってきます。

それらを眺めていると「あぁ、ゲームを作るからには、ここまで作り込まなければいけないんだ」みたいな固定観念がなんとなくで出来上がってしまうのかなーと思っています。

RPGツクールに触れた当初の私もそうでしたし、直近もこういった""べき論""にとらわれて中々制作が進まないことがありました。

今回、たまたま参考とさせていただいた作品(前述)をきっかけに「いやいや、これだけ割り切って作ってもゲームとしては成立するぞ」と、作品の完成・公開まで持っていくことが出来ました。

割り切って作ってもOK(というかフリーの個人制作なので、本来好きにやれば良いんですが)、肉付けしたかったら完成後にやったほうがモチベーション保てる ということを主に伝えたかったです。

-ツクールMZ, 制作日記